美容師と話すと自意識が漏れ出る

長年同じ美容院に通っている。安くてだいたいの美容師がいい感じに仕上げてくれるし、あんまり喋りたくなくて雑誌を見続けても気まずくない雰囲気で気に入ってるからだ。基本的に指名はしていない。一人だけ仕上りが微妙な人がいてその人を避けるために指名していた時期もあるが、ホットペッパーの指名のシステムでその人がいない日がわかるようになったのでめっきり指名はしなくなった。指名料がかかるしね。

さて、指名はしていないがだいたい同じ曜日の同じ時間に行くのでなんとなく担当…みたいな人が居るようになった。私は人の顔を覚えるのが苦手なのでその人が前回と同じ人だと気づかなかったが、「前回こうでしたよね〜」みたいな事を言ってくるから「ああ、同じ人なのか」とわかった。

さて、その人(女性なので彼女とします)は比較的最近この美容院で働き始めたらしい(あと前回もその話はしてたらしい。ごめん。)。彼女は人の顔と名前、話した内容など覚えるのが得意だと言っていた。顔を覚えるのも苦手だけど覚えられるのもちょっと苦手なんだよな…と思いながら話をしていたのだが、妙に話がはずむ。普段こんなに美容院で話さないのに、そして他の美容師は多分「普段この人は話さない人なのに」って思ってるだろうなと思うと恥ずかしさがあるのだが、つい話してしまう。

 

先日シャンプーされながら話したのはこんな内容だった。

美容師「忘年会とかあるんですか?」

私「あるけどド平日なんでちょっとね…」

美容師「他のお客さんが言ってたんですけど、忘年会でゲームやるのに景品考えるのが大変だって」

私「ああ、年末なんてただでさえ忙しいのにそれは大変ですね」(そういうのない職場で良かった〜)

美容師「なんか家電とかのリクエストが多いらしいですけど、私はいいお肉とかがいいですね」

私「確かに消えものはいいですね〜」

 

この時シャンプー中であり、この美容院は目の部分だけ紙を載せるので、目を閉じていた私の脳内には割と鮮明なイメージが湧いていた。自分のところだったらどうするだろうか。職場の面々を思い浮かべながら、何なら喜ばれるだろうか、何なら外さないだろうか、などと考えていた。

 

私「家電とかはなんだかんだ自分で選びたい人が多い気もするんですよね」

美容師「わかります。しかも会場にもっていくのに重いですもんね。でもダイソンの掃除機とかちょっといいドライヤーとかのリクエストが多いらしいですよ」

私「ちょっといいドライヤーかあ…」

 

ちょっといいドライヤーかあ…。その人の職場だと大丈夫なのかな?うちの職場でイメージしちゃうとダメだな、ちょっといいドライヤーは…。みんながみんな髪の毛あるわけじゃないし…。髪型とかの話題になると「ちょっと!セクハラじゃないですか?」と笑いを取りに来る自己犠牲の気持ちが強い人が一人いるけど、私は彼はそれなりに傷ついてから今の境地にいると思ってるので彼の精神を摩耗させてまで髪の話したいとは思わないんだよな…。いいドライヤーかあ…そもそもドライヤーの良し悪しとか髪周りの話もしないようにしてるところがあるかもな、私は…。

 

私「ちょっといいドライヤーは…うーん、正直みんながみんな髪の毛あるわけじゃないしなあ…うーん…」

美容師「え?○○さん、めっちゃ考えてるじゃないですか…」

 

めっちゃ考えてる事がばれるの、めっちゃ恥ずかしいな…

 

あと私に前のお客さんの話題をしたから次のお客さんには私の話がいくのかなと思うと少し恥ずかしいな…

 

といいつつ、なんとなく次に行くのを楽しみにしている私がいる。